<純信の恋文>
川之江の純信堂に、
夜でも読めるように照明燈つきで、
純信の恋文が掲示してある。
その恋文は、
「純信からうまへ」として、
『久しく遠々しく候。
先づと先づとや
御無事で御暮らしと推し参らせ候。
しつむ此節、川之江に
寺子五・六十ばかり世話致し居り候。
どうせそもじを
連れに参り申すべくと存じ居り候えども
なかなか国の諾承り候にむつかしき故、
たとい何年かかりても連れに行き申すべく候。
左様御承知下さるべく
自分に参り申ささる時は、
人をやり申すべき故、御待ち下さるべくもし、
又それまでに嫁入りでもするか、
又は心当たりの儀これあり候えば、
きっと存じ寄り
これあるべくかねて、御噂なし置き候。
誠に去年以来そもしが事にて艱難致し候事。
又よき便り御座候えば、
川之江顔役夫婦 岩 亀吉 と申す者のところへ
尋ね参り申すべく、
須崎より久万の町へ参り候えば、
よりより川之江へ二十里ばかり故、
どうでもして是非是非
まかり越しもうすへく、琴平で金を使い、
そもしが参り候わば、
売るなどいふ悪口に少しも御気ずかいなされまじく
早く越し待ち参らせ候。
光はあらあらかしこ
八月十九日 うま様
せんなり事 岡本要』
とある。
尚、「岡本要」とは純信の本名。
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