<謡曲「采女」>
諸国一見の旅僧が
奈良春日明神に参詣すると
一人の里女が来て、当社の由来を語り、
なお僧を誘って猿沢の池へ行き、
昔帝の寵愛をうけた采女が
帝の御心変わりを売らんで、
この池に入水した事を語り、
自分はその幽霊であるといって、池の中に入る。
僧は入り池の辺で読経回向していると、
采女が現れて、成仏を喜び、
采女についての逸話を語り、
歌舞を奏して再び池に消えた、
という大和物語の筋である。
謡曲史跡保存会
(蛇足)
謡曲とは、
能の台詞に節をつけてうたうことで、
謡(ウタイ)ともいいます。
能は舞・謡曲・囃子から成っていますが、
謡曲が独立して江戸時代に大流行しました。