<平松のウツクシマツ>
このウツクシマツは、
赤松の変種であり
庭園樹の多行松とよく似ているが、
多行松は園芸品種に対し
ウツクシマツは自然性で
この地だけに生育し周囲の山にはない。
しかも、多行松と異なり
非常に大きくなり
地上10mを超えるものがある。
なぜこのように変形したかについては
偶然変化によるものか、
この地による特異発生によるものか不明であるが、
この地一帯は
岩土にして表土が非常に薄い為、
根の発生が妨げられ、
その交互作用によって幹の生長に変化がおこり
主幹は真直に伸びずに
多くの枝に分かれたものと考えられる。
江戸時代(1596〜1867)の
「伊勢参宮名所図絵」には
「平松村の右の方の山に
ウツクシ松という松あり、
一山凡そ二町余の間、のこらず雌松にて
其の生ふる形一樹にして
根下より数十幹を出す甚だ奇観なり」とある。
大正10年(1924)3月
国の天然記念物に指定された。